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市場養生訓

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第815回

2020年05月26日

 世界の開かれた国の中で最も強靭な為替レートのシステムを持つ国はどこだろう。そしてその強靭なシステムが脅かされるかもしれないとしたら一大事だ。
 香港は1983年に変動相場制から固定相場制に移行して以来、中心レートや変動幅の変更はあったものの今日までそのシステムは維持している。しかも香港ドルは米ドルとの交換を保証して、その価値を裏付けている。市場に流通する香港ドルに見合うだけの米ドルを常に保持しているからだ。
 現在の香港の対ドル為替レートは、中心レートが7.80、変動幅が7.75から7.85と決められている。実勢レートが上限や下限を突破するような状況になると市場介入や金利の操作で変動幅を護る。それでも無理の場合は中心レートや変動幅を変更する。
 こうしたシステムがこれまで危機に晒されて来なかったわけではない。香港の中国への返還、アジア通貨危機、世界金融危機などの際にはシステムの維持が容易でないこともあった。それでも今日まで固定相場制を維持してきた。
 そして今日、コロナ危機と中国による国家安全法の制定(見通し)がある。これらは香港の為替レートのシステムの維持に対して脅威にならないだろうか。それとも「今回は違う」との見方が常に的外れだった過去の例を繰り返すのだろうか。
 直近の米ドル香港ドルのレートは7.7530で変動幅の下限(香港ドルの上限)に近い。国家安全法の発表でハンセン指数は金曜日に5.6%下落したが直近では幾分戻している。為替レートも同じパターンだが、香港ドルの下落(米ドルの上昇)は数十ポイント程度だった
 香港ドルは3月中旬から7.75台で取引されているが、この要因の一つはドル金利の低下だ。香港ドルは安定した為替レートを維持するために、金融政策は基本的に米国に追随する。そうしないと資本の流出入が激しくなり変動幅の維持が難しくなるからだ。現在は香港ドルの金利が若干米ドル金利を上回る。
 しかしコロナの影響で世界的に経済が落ち込む中で香港もその影響を免れない。つまり香港ドルの金利低下圧力は増す。不動産価格の下落が続けば、その傾向に拍車がかかる。香港ドル金利を高めに維持するのが難しくなればドル香港ドルは上昇に向かう。その上国家安全法の制定で、人材の流出や投資の回収が起こればドル香港は上限に張り付く可能性もある。そして変動幅の維持に圧力がかかる。
 昨年後半に香港民主化運動が激化したとき、昔から続いてきた英国などからの投資引き上げの見方が強まったことがあったが、留まった。だが今回は、香港基本法の精神に反するような法の制定を中国は目指している。コロナ後の世界では中国の影響力が一層増すとの見方が強まる中で、今回の法の制定を契機に47年を待たずに一国2制度が形骸化する可能性は高い。
 そうなれば自由な資本取引を掲げてきた香港市場の将来展望が描けなくなり、
投資の引き上げを考える投資家は格段と増える。そしてドル香港ドルの上限を維持するのが難しくなり、固定相場制から現行の人民元のシステムと同様な管理変動相場制に移行することも考えられる。そしてその先には香港ドルと人民元の通貨統合がある。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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