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第385回 ~中国の通貨戦略~

2020年05月27日

※筆者の都合により、第386回(6月3日更新分)は6月4日(木)の更新となります


今週の話題の一つは、米中摩擦の激化であり、毎日のように関連ニュースが飛び回っている。ただ情報は直接出元から得たものでない限り、その信憑性は確実ではない、しかし為替相場は嘘はつかない。それが自由取引であるかぎりだが。では中国人民元(以下“元”)はどうであろうか。

筆者は、昔に比べれば、市場の取引形態は自由化されたと言え、依然として中国政府(中国人民銀行)の政策意図が広く反映されていると考えている。そのような状態での元安である。ましてや、この米中摩擦拡大中のさなか、中国政府の意図が明確に表れていると読んでいる。今日は一気に7.16元台に急落、今の動きから、米中通貨戦争に発展する可能性が高まっていると、強く危惧している。

先週取り上げた、「ifその3:中国が米国債を売却したら・・・」に大きく結びつく要素に為替相場がある。そこに今週大きな進展が出てきた。まず今の水準が、12年ぶりの元安と言えることだ。直近の安値が11年半ぶりの元安となった昨年(2019/9/3)の7.1842元だが、このレベルまで残り0.02元あまり。昨日が7.13台であったことを考えると一日で安値更新となる可能性がある。そうなると、元は、7.20台の2008年2月以来の、なんと12年4か月ぶりの安値水準となる。

そして、米国が中国を再び「為替操作国」に認定する可能性が高まっているとみられることだ。昨年8月に中国を為替操作国に指定した時の水準(7.1785元)に近付いているからだ。米国は、これまで年二回財務省が「為替報告書」を議会に提出している。ただ昨年は、米中関税協議の真っ只中であり、5月の報告書の後、8月に中国を特別に為替操作国に認定したあと、定例報告書は提出されなかった。

その後2020年1月に遅れて提出された報告書で、中国を操作国から一段下の「監視リスト国」に引き下げた。米中関税引き上げへの発効中止の合意がなったことが主要因であるが、元相場が6.90元台まで元高ドル安となったことで、操作国認定の要因の一つである自国通貨売り介入の要素が和らいだことも大きい。ちなみに今現在合計で10か国がリスト国として監視の対象になっているが、日本もその一つとなっている。

今、米国の中国への要求がエスカレートしている中、いつまでも中国が寛容でいられるか疑わしい。反攻、報復が始まっているかもしれない。一層の元安に備えておくことが肝要だ。中国政府が、人民元の国際化、人民元決済圏の拡大に自信を深めていることが十分に考えられる。この点については次週以降取り上げていきたい。
今後1週間の予想だが、ドル円は、これまでの膠着状態から円安方向へ変動し、107.00~109.00円と予想する。またユーロは6/4のECB理事会での再緩和策決定の可能性を睨み、対ドルでは1.0780~1.0980、対円では変わらずの117.00~119.00円と予想、また英ポンド/ドルは、1.2150-1.2350だが、ポンド弱含みと予想している。

(2020/5/27, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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